5/13「ビザールギターの会@アトリ」レポート

6月に入り、梅雨の気配が少しずつ近づいて参りましたが皆さまご機嫌いかがでしょうか。
アトリでは先月5/13に、
店長Jによる店長Jのための「ビザールギターの会」という貸し切りトークイベント(という体の飲み会)が催されました。
「あなたこだわりの1本を見せて下さい」をテーマとして大盛況で幕を閉じたトークイベント第1回、
イベントの写真が非常に少ないですが振り返っていきたいと思います!
ニッチ過ぎる内容ですが、「こんなニッチな内容の飲み会出来るんや!なんかやりたい!!」と思って頂けると幸いです。

ビザールギターとは?

まずビザールとは何か?という話で「bizzare」というのが 奇怪な、異様な、信じられないという意味で、
-中略-
定義は色々あるとおもいますが、共通の認識としてはちょっと変わったレトロ感のあるギターだと思っていただければ大丈夫です。
-中略-
肝心のサウンドはどれも良くも悪くも強烈で、エレキギター創世記の完成されてないパーツ、木材の影響で非常にアクのある音で今現在だとガレージ、オルタナ系な音楽には合うような音といえば聞こえが良いのですが(笑)クリーンはペケペケ、チョリーン、歪ませるとドグシャー、ブバーといったサウンドで大変扱い難い個性的な音です。

( http://bridge-guitars.jp/archives/136より)
今回は上記のようなギターを愛してやまない人たちで、それぞれ持ち寄った愛機を愛で合おうじゃないかというイカレた趣旨のイベントでした。
参加メンバーは店長J、アトリのお客様NさんとTさん、
あまさき倫公里のアナカシコ のbaヒラオカ君、
Atomic stoogesのgt,voよしぐの5名。
よしぐの友人たはら君とアトリスタッフあまさき倫公里がスピーカーとして参加していました。

ビザールギターを語る①山中J(店長)のteisco vegas66′

初対面同士も複数、妙な緊張感に包まれている中で最初に話し始めたのは店長J。そのギターがコチラ。
(モデル:teisco vegas66′ (1966年製)
写真は自宅。後ろに佇むのはdanelectro 56。)
teiscoは1940年代後半に創業した日本の楽器メーカーで、数々のビザールギターを世に送り出している会社です。
海外にも積極的に輸出していましたが80年代頃にはギター製造ラインが倒産・消滅し、2000年代には会社自体も他社に吸収され、完全に消滅。
現在は中古市場でしか出回らない珍品たちとなっています。
このモデルは主に海外へ輸出されていたもので、今年4月に購入したころには1966年当初のオリジナル状態から各所改造が施されておりました。自分では右下のツマミで付け替え、花柄はステッカーを貼り付けております。
オリジナル状態の参考画像はコチラ。

所謂フルアコ(ギター本体が空洞の構造。アコギに近い)で、かなり大ぶりなボディと薄い&細いネック、そしてteisco特有のデカ過ぎるヘッドが特徴です。
(デカ過ぎるヘッド)
右上にニュッと伸びる形状のため、通常のギターケースには入らないことが多く、ユーザーを悩ませる原因の一つになっています。でもそんなところがかわいいんですよね、、、
(↑このような発言は沢山出てきました。)

ビザールギターを語る②ヒラオカくんのバリトンギターteisco YB-6

2番手で話してもらったのはヒラオカくん(from あまさき倫公里のアナカシコ)。
アトリスタッフであるあまさき倫公里のバンドのメンバーで、今回唯一のベーシストはどんなのを持ってきてくれたのでしょうか。コチラ。
(モデル:teisco YB-6 (1960年代製))
(参考画像:ネットより拝借)
ぱっと見はギターに見えますが、バリトンギターと呼ばれる、ギターとベースの中間というド変態楽器でした(褒めてます)。
バリトンギターとは、ギターのように6本の弦が張られているのですがその弦の太さはベース並、音もかなりベース寄り、だけどもベースよりは弦も音も細いという名(迷)楽器。
そして私と同じメーカー、teisco笑。
ギタリストばかりの参加者たちは見慣れない弾き慣れないバリトンギターに???を浮かべながら可愛がっていました。例に漏れずこれもヘッドがデカ過ぎますね。
1枚目の写真に写っている水色の箱は参加者Tさん持参のミニギターアンプ。これもとってもカワイイのです。
ちっちゃなアンプに繋いだバリトンギターは、ブリブリとご機嫌な音を鳴らしていました。

ビザールギターを語る③Nさん teisco EP-200 (1966年製)

トーカー3番手はアトリお客様からNさん。初ご来店時に店長Jと話が盛り上がりすぎて今回のイベントを企画するきっかけとなった方です。
最早首謀者の1人。大層なギターマニア・収集家で、このイベントに合わせて「何を持って行こう…」と複数本から選りすぐられたこだわりの1本がコチラ。

(モデル:teisco EP-200 (1966年製) 写っているのはよしぐ)
3度目の正直といいますか、2度あることは3度あるといいますか、またteiscoです笑。
いかにビザールギター界においてteiscoが幅を利かせているのかがよく分かりますね。
このギターもJ所有のものと同じく空洞構造のフルアコ。
しかし、アコギを想像して頂くと分かりやすいですが、このギターは本体がとても薄いのです。
薄い上に空洞、つまりとても軽い!その重量とペチペチと小気味の良い音、アームの効き(*)の良さから参加者から絶賛を受けた名機でした。
見てくださいこのよしぐの嬉しそうな顔。彼は非常に気に入って弾きまくっており、「持って帰りたい」を連発する程でした。さすが、東淀川のギターコレクターNさんこだわりの1本。
(* アーム とは、トレモロアームのこと。ギターの弦の張力を演奏中にコントロールするパーツのこと。ウヮンウヮンと音程が変化します。)

ビザールギターを語る④ eastwood airline 59′ 2p

そんなご機嫌なよしぐが4番手。Atomic stoogesでバキバキのギターを弾く彼の愛機がコチラ。

(モデル:eastwood airline 59′ 2p 写真2枚目はTwitterより)

Airline Seriesは50年代~60年代にSuproやNationalなども扱っていた”VALCO社”の製造したモデルを中心に当時の“ビザール”ギター&ベースの復刻モデルです。今やオリジナルは“ビンテージ・ビザール”と呼ばれコレクターの間で高値で取引されており、とても手軽に手の出せる代物ではなくなっています。

(https://ssl.apollonmusic.com/eastwood/index.html より)
ビザールギターの名機たちを現代的にリメイクして送り出すアメリカのeastwoodからコチラ。
通常のモデルは赤色なのですが、彼は海外の友人たちとDIYで塗り替えてしまったそう。ワイルド。
やってることがアメリカン。非常に出力の弱いギターだそうで、彼はエフェクター等で調整・工夫しながら愛用しているそうです。
そんな彼がギターを弾き歌うAtomic stoogesのCDは当店アトリでもお買い求め頂けます!
非常にクールかつ爆発しているAtomic stooges、掛ければ即、アトリはアメリカンバーに変貌します。
(Atomic stooges / 『BAD GIRL』 ¥1000)

(MVで使っているギターは違いますが、音楽はこんな感じです!)

ビザールギターを語る⑤Tさん danelectro 59-DC

そして今回最後のトーカー、アトリお客様よりTさん!
男臭いマニアックなトークが続く中、女性参加者のTさんが持ってきてくれた1本がコチラ。
(モデル:danelectro 59-DC 写真はネットより)
キューーーーート!!!覚えていらっしゃるでしょうか、店長J所有のギターにもdanelectroがひっそりと登場しておりますが、これはなんとも…カワイイ。。。
Tさんはこのモデルをたまたま名古屋で見かけて、一旦は我慢して関西へ帰って来られるもやはり我慢できず、わざわざ名古屋まで戻り購入したというエモエピソードも。
「かまぼこちゃん」という愛称を付けておられ、となるともう、かまぼこにしか見えない…。よしぐは「桃」と言っていましたが、うん「かまぼこ」ですね笑。
danelectroは比較的廉価で購入出来、現在も現行版が発売されているなどから、今回の参加者の多くも所有しています。
かなり個体差の激しいギターとしても知られており、アタリハズレが結構あるのですがTさん所有の1本は、本当にアタリの個体でした。
これまでの4本がアクの強いものばかりだったこともあり、とーーーっても弾きやすいこと!こんなことを言ってしまえばビザールギターもクソも無くなるのですが、「ちゃんとしたギターや…」と皆が口を揃えるという事態に。
(danelectroも充分過ぎるほどアクの強いギターです。)
ビザールギターとは縁の無かったよしぐの友人たはら君(*テレキャスター ユーザー)も、このdanelectroが一番しっくり来ていたようです。

(*参考画像:テレキャスター。よく見覚えのあるギターではないでしょうか。)
そんなこんなで皆が話し終えたあとは、Tさんが持ってきてくれていたミニアンプで各楽器の弾き比べ、褒め合いで盛り上がるという、機材マニアトークにしては愛しかない平和過ぎる内容となりました。
まさかのteisco3連発でしたが、たはら君もビザールの世界に少しだけ足を踏み入れ(早期の購入を迫られていました笑)、こういう話題大好きなみくりもスピーカーとして参加してくれて大円団、大雨の中開催されたとは思えぬほど大盛り上がりとなりました。
終盤は次回のトークテーマ、「エフェクター接続順会」という奇天烈な候補が飛び出すなど、とても狭く深い範囲で次に繋がる良い夜に。

カルチャーの発信点としてのアトリ

正直興味のない方からすれば「なんのこっちゃか全くわからん」というレポートになっていると思いますが、、、
わたしJ個人の考えとして、「ギターは見た目100%」なもので、今回のギターたちを見て少しでも「可愛い」「かっこいい」と思って頂けたら、興味を持って頂けたら幸いこの上ないです。
皆さん、世の中には「ビザールギター」のようにニッチでマニアックな話題が、それを愛好者たち同士で語りたい!という方が実はたくさんおられると思います。
アトリではそういう会をどんどん開催して行きたいのです。初対面でも友達、そこには愛しかありません。
楽器・音楽に限らず漫画や映画、銭湯や服飾など、なんでもござれです。
カルチャーの発信点として、アトリが場所を提供します。テーマ、企画持ち込み大歓迎。
かなり長くなりましたが(愛ゆえに)ありがとうございました!!!
次回のトークイベント開催、乞うご期待です。 (J)